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#6

「日本ってバーチャルウォーター輸入してるけど、これって問題?」(SDGs:6)

 私たちはSDG6番「安全な水とトイレを世界中に」と、関連してSDG12番「つくる責任つかう責任」を取り上げ、バーチャルウォーターをテーマにディスカッションを行った。一口に水問題と言っても、日本人にとって身近に感じられるものはそうない。私たちが水について困ることはそうないからだ。実感がわかない。しかしこのバーチャルウォーターにおいて私たちは問題の渦中に存在している。日本の食料自給率の低さと共に高いバーチャルウォーター輸入量を推移する。しかし、バーチャルウォーター輸入量自体が直接的な問題かというとそうではない。国によってはこの水も十分な輸出することのできる資源だからだ。私たちが直面しているこのバーチャルウォーターは問題なのだろうか。この批判的な姿勢を前提としてバーチャルウォーターについてディスカッションを行った。


▶バーチャルウォーターって問題?

 日本のバーチャルウォーター輸入量は世界でもトップクラスに多い。これは水問題と言われている現状、利用できる水を先進国が占領しているのではないかという問題が上げられている。しかし、ディスカッションにおいてはこれを単純な問題ではないと捉えて議論が行われた。というのも、バーチャルウォーター輸出国においては、このバーチャルウォーターもまた優良な輸出する資源となっているからである。日本の主な輸出品として車が上げられる。日本においてはこの製造技術を資源として外貨を得ることができる。バーチャルウォーター輸出国にとっては、これが日本における車のような輸出資源であり、単純に日本が輸入をやめればいいという問題ではないという話がされた。一方で日本は降水量が多く水資源が豊富な国である。その日本が、国外の水を消耗し田畑を枯らしてしまうことの問題、そもそも輸出国は自分たちが十分に水を得ることができているのかということを十分に考えて消費できていないということが大きな問題ではないかということが話された。


▶ バーチャルウォーターを提供する側の責任

 私たち日本人はバーチャルウォーターについて学ぶ機会はほぼない。牛丼1杯を食べるために2t以上の水が必要になることなど考えさせる機会はほぼない。これは、バーチャルウォーターについての教育が十分に行き届いていないという問題だけではなく、提供する側にも問題があるのではないかということが話された。日本企業はこうしたサステナブル消費に対する対応の遅れが見られている。最近ではウイグルの人権問題を基に新疆ウイグル自治区の綿花を利用した商品の利用を問題視されているが、UNIQLOで有名なファーストリテイリングの柳井正会長兼社長がノーコメントを強調したり、無印良品で有名な良品計画は、調査の上で新疆産の綿を利用した商品の販売を継続したりするなどで世界的に批判が集まった。日本におけるサステナブル消費が遅れているのは明確な事実となった。

 一方で、ディスカッションの中では、日本も始めさえすれば、企業を軸としたバーチャルウォーターの周知は行うことができるということが言われた。例は健康問題だ。近年ではコンビニエンスストアで販売されているパンのパッケージには糖質量を始めとした栄養素が記載されるのが当たり前になった。これは近年の健康志向を表す一つの変化であり、記載されているが故に私たちは何気なく考えられるようになった。これと同じことがバーチャルウォーターでも行えるのではないか。例えばパッケージに商品ごとの使用量を記載することで、消費から意識する機会を作ることができるのではないかという結論に至った。


▶私たちにもできること

 「私たちは買うことで、企業に投票している。」参加者から発せられたこの言葉がディスカッションにおける私たちのできることを示していた。企業に責任があることと同時に、消費する私たちにも責任がある。消費者がサステナブルな商品を購入するようになれば自ずと企業もそれにそった商品を出すようになる。私たち一人一人の行動は小さいように見えるが、そういった一人一人の行動が企業を、そして世界を動かす行動になるのだ。これは起業が先に目を向けるか消費者が目を向けるかという、鶏が先か卵が先かというような話になってしまうかもしれない。だから、それに気づいた私たち大学生は教育を始めとして世界に発信していくことで問題の見える化が必要なのである。一人一人の小さな行動で世界を変えよう。それが今回のディスカッションの結論である。

学生の声

学生1:
 バーチャルウォーターという言葉自体は知っていましたが、改めて調べ直して考えたことで、新たな気づきを得ることができました。また先生や他の学生の意見も聞くことで何が問題なのか、何ができそうか、何が必要か整理されたと思います。とても勉強になりました。

学生2:

 とても考えさせられる場でした。普段水問題となると、節水とかプラスチック廃棄とか、そのような分かりやすい問題しか触れてこないのでバーチャルウォーターを知れて良かったです。

 水をどうこうする問題ではなくて、私たちの意識ひとつでたとえ他国の問題でも自国の事として解決しようと努める姿勢が必要なのだと思わされました。バーチャルウォーターだけではなく、日本の抱えている問題をもっと知ろうと思わされた時間でした。

 


まとめ

 バーチャルウォーターの問題は、輸入それ自体を善悪で捉えることはできない。環境だけではなくその国々の経済、政治問題にも関わってくるからだ。そのため単純に輸入をやめようということはできない。しかし、この問題を考え続けることはできる。そしてより多くの人が関心を向け考える機会を作れるように、それに気づいた私たち大学生は情報を発信する。輸入する側である企業もまたそれを示す責任を果たす。これによって問題を見える化し、一人一人がこの問題を自分ごと化して考えられる環境を作ることが必要だ。